NTC Newtechデータで未来をつなぐ

松江工業高等専門学校お客様への導入事例をご紹介します。

松江工業高等専門学校長 校章

地域を巻き込み人材育成を推進する先端のIT教育環境

 

この導入事例は2022年8月24日に行われた、松江工業高等専門学校 情報⼯学科 杉山耕一朗先生のインタビューに基づいて編集したCloudy DPの導入事例です。
 

はじめに

 

オブジェクト指向スクリプト言語『Ruby』の開発者である、まつもとゆきひろ氏の在住される島根県は、松江工業高等専門学校をはじめとした教育機関や地元企業、各団体が協力してデジタルイノベーションを推進する、全国でも先進的な地域DX推進基盤を構え、取り組みを進めている自治体です。地域が一丸となってDXを底上げし人材を育成するという背景の下、松江工業高等専門学校 情報⼯学科 杉山耕一朗先生が同校で学ぶ学生たちへの教育向けに導入したニューテックのディープラーニング向けシステムについて、具体的な使われ方やその成果について、お話しを伺います。
 

導入のきっかけは?

 

松江工業高等専門学校 総合情報処理センターにおいてディープラーニングシステムの共同利用を計画し、導入しました。入札による選定で、当校の求めるシステム要件とニューテックの製品であるCloudy DPが合致した結果となります。
近年、学科や研究分野を問わず、ディープラーニングに関連する教育研究は益々盛んになっています。コロナ禍であろうと、コロナ禍だからこそ、教育研究を下支えする情報基盤の導入と運用をないがしろには出来ません。学内でもディープラーニング用計算機の需要が高く、世間の動向を見ながら要件を検討し、導入に踏み切りました。ニューテックのことは以前から存じ上げており、ニューテックのユーザの希望に寄り添ったきめ細やかな提案やサポートが気に入っておりました。

 

システム構成について教えて下さい

 

2020年11月にシステムを納めていただき、テスト運用を経た後に2021年4月から本格的な運用を開始しました。テスト運用中のユーザからのフィードバックを受けて、ソフトウェア構成・アクセス方法・運用方法などを決定しました(下図)。2021年にさらにA100を追加し、システムの拡張を続けています。

 

システムのハードウェア的な特徴を教えて下さい

 

導入した2020年当時、学内でのニーズをまとめたところ、GPU性能と数量を重視するグループと、GPUはもちろん、CPUコア数も重視するグループの二手に分かれました。大多数は前者です。使用する言語は、前者グループではPython、後者グループではPython、C言語、Fortranです。利用する Pythonのライブラリは研究室毎に様々でした。これら学内ユーザの要件を満たしつつトレンドも追従していきたいと考え、GPU強化に特化したサーバ3台とCPU性能も強化したサーバ1台を導入しました。前者はIntel XeonにTesra V100Sを3基搭載しており、後者はAMD EPYC (128コア) とTesra V100Sを1基に搭載しています。ファイルサーバとして、ZFSファイルシステムを用いた2Uのストレージサーバを4台導入しています。全てのサーバに100Gのネットワークカードを搭載し、100Gで相互に接続されています。2021年にはA100 3基を追加し、計算能力の向上を図りました。
 

ご利用の上で問題は?例えばパフォーマンスの面では?

 

特に問題ありません。あるとすればソフトウェアの使用上での問題くらいですが、ソフトウェア環境の構築はこちらの責任ですので。ハードウェアのパフォーマンスは満足のいくものです。障害もありません。

 

システムはどのような使い方をされているのでしょうか?

 

システムは、JupyterHub によるブラウザ上での対話的なプログラム実行とジョブ管理システム PBSによるバッチ処理の両方を提供しています。希望する学生・教職員にユーザアカウントを配っています。ユーザはシステム側で用意した複数のPython仮想環境でプログラムを実行することもできますし、自分で用意したPythonの仮想環境やDockerイメージを使ってプログラムを実行することもできます。元々、本校ではLinux OSを用いてコマンドラインからPythonプログラムを実行している学生が多いですが、WindowsでGoogle Colaboratory といったWebブラウザから利用できるGUI環境を使っている学生も一定数おりました。どちらのタイプの学生も使いやすいシステムになることを考慮しました。また、VPN で自宅などの学外からシステムにアクセスしてプログラムを実行することも出来るようになっています。

 

導入当初の計画ではVMwareを導入して各研究室に1つの仮想マシン(VM)を配布することを考えていました。必要なPythonライブラリのVMへのインストールは各研究室に任せることで、システム全体の管理コストを下げることも目論んでいました。この計画では1つのGPGPUを2~4研究室で分割して使うことになるので、GPGPUのメモリが細かく分割されてしまいます。各研究室からGPGPUのメモリを細かく分割しないで欲しいという声が多数上がったため、この計画は取りやめました。導入直後のテスト運用では、サーバ1台にジョブ管理システムPBSの管理ノードとしての役割を持たせ、ユーザはこのノードにSSHログインしてCloudy DP上のPython仮想環境にジョブを投入するという運用としました。アクセス方法がSSHのみであり、しかもPython仮想環境の構築をユーザに完全に任せたため、利用の敷居が上がってしまいました。このテスト運用で挙がった声を拾い上げ、改めて学生のプログラム実行方法の現状を把握して検討を行った結果、先に述べたようなJupyterHub によるブラウザ上での対話的なプログラム実行とジョブ管理システム PBSによるバッチ処理の併用、という環境が形となりました。問題となったPythonの仮想環境は、自分でも作れますが、システム側で用意してあるものも使えるようにもしました。SSHに慣れていない学生は、ブラウザ上でJupyterHubにログインして、JupyterからPBSのジョブを投入できるようにもしました。結果として学生には至れり尽くせりになったのではないでしょうか。
 
参考: Jupyterhub
 
それぞれの研究室がどのようにこのシステムを利用しているか?ということですが、研究室毎に三者三様なディープラーニングを用いた研究が行なわれています。個々のテーマを挙げだすと切りがないのでここでは省略しますが、多種多様なテーマが同時に行えるようになったこと自体がシステムを導入した成果なのかなと思います。ちなみに私の研究室ですが、鳥好きな学生が野鳥の遠隔観察を行ってAIによる画像認識で野鳥の種類や数を観測しています。あと、夕日好きな学生が、宍道湖の夕日を定点で連続的に撮影して画像解析を行ない、『美しい宍道湖の夕日』について日々うつろう夕暮れの宍道湖畔の色にフォーカスした研究をしていました。それぞれ育成段階で、特に後者はどんな着地点になるか不安でもあり楽しみでもありますが、やりたいと思ったことをすぐに試せる環境、しかもすぐに結果が出せるだけの計算能力がある、ということは本当に重要だと思います。継続して、それぞれの解にたどり着いてくれることを期待しています。

 

また松江工業高等専門学校では、『松江高専DXリカレント講座』と称したDX人材育成のための社会人講座を、島根県と連携して開催しています。AIやIoT等の先進技術演習を丸一日ハンズオンで学ぶことが出来る講座で、季節ごとに開催しています。今年(2022年)2月や9月に開催された講座の参加者向けの演習環境には、このディープラーニングシステムが使われました。この講座は1人に1基のV100S もしくはA100が割り当てられるようなリッチな学習環境です。

 

今後の松江工業高等専門学校の展望について教えて下さい

 

ディープラーニングシステムの導入を契機としてAI教育のカリキュラムの強化が進んでいます。2022年度は、情報工学科では「データサイエンス入門」という講義が新設され、学生実験でディープラーニングを扱うテーマが2つ増えました。このような例をみても、システムが導入され、それを誰もが簡単に使えるようになるというのは、充実した教育研究を行う上で必要不可欠なのだと感じます。
 

インタビューのおわりに

 

十代からこんなリッチな環境で情報工学を学ぶことが出来る松江高等専門学校の学生の皆さんは幸せだなと羨ましく思います。さらに県を上げた取り組み。学生のみならず、このリッチなリソースを社会人向け学習にも提供しようという島根県のAI教育指標がすごいと感動しました。
杉山先生には、ニューテック製品とサービスに対して高い満足度を得られていること、そしてニューテックを大変気に入っていただいているという言葉を直接お伺いすることができ、大変喜ばしいインタビューとなりました。これからもニューテックはお客様にご満足いただける製品、サービス品質を守り続け、より一層の付加価値をご提供して参ります。杉山先生、インタビューをご快諾いただき、誠にありがとうございました。
 
 

松江工業高等専門学校 情報⼯学科 杉山耕一朗先生: 近影
Ruby City MATSUEプロジェクトのコンセプトウェアをお召しの杉山先生と稼働中のCloudy DP

松江工業高等専門学校 情報⼯学科 杉山耕一朗先生: 近影
松江工業高等専門学校
WEBサイト

松江工業高等専門学校長 校章

 

Cloudy DP 製品情報ページへ

Cloudy DP リーフレットダウンロード
CloudyDPサムネイル

 

(2023/06/21)