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FCスイッチの構成例お客様へのFC-SAN関連コラムをご紹介します。

本ページに記載された技術情報は記事が出稿された時期に応じて推奨システムに対する考え方や実現方法が書かれています。
したがって、最新技術でのシステム構築を前提とし、この情報を利用する場合、その記事が時代に沿わない内容となる事もありますので予めご了承ください。

 

ストレージの大容量化に伴い、RAID製品もマルチRAID・マルチインターフェースが可能なシステムになってきました。これにより、複数のホストから容量の大きな1つのRAIDの利用や、複数のRAIDをストライピングアクセスする等の様々な構成が可能となり、その運用にFC-RAIDとFCスイッチが必要不可欠になってきています。ここではそういったFCデバイスを使った構成方法についてご説明いたします。

 

まず、FCハブとFCスイッチの違いについてですが、FCハブでは共有バスのため、SCSIバスに近いレベルの安定しか得られません。ネットワークがハブからスイッチに移行したように、ストレージバスも共有バスからスイッチバスに移行しつつあり、この際、必要になってくるのがFCスイッチ製品になります。

FC HBA(I/Fカード)で最も、シェアを占めているのがQLogic社製品であり、ニューテック製HBAもQLogic社製コントローラ採用のHBAで、PC系OSやSun Solaris等をサポートしています。

webから様々なOSに対応したドライバやGUI設定ツールをダウンロード可能で柔軟なサポートで信頼性を高めています。

 

FCスイッチとFCマルチRAIDの構成

複数ホストで一台の大容量マルチRAID分割仕様で構成した場合

 

FCスイッチに複数のホストを接続します。RAIDをホスト分の論理ディスクに分け、FC・ID別に論理ディスクをマップします。FCスイッチのゾーニング設定で、1ホスト1ゾーンを作成し、使用する論理ドライブの含まれるIDをゾーンに含みます。この際ホスト側はポートもしくはWWNでのゾーニングも可能です。Windowsではダイナミックディスクでスパンボリュームを使用していれば、RAID追加でファイルシステムの拡張が可能です。UNIXでも、LVMとXFS等の拡張可能なソフトを使えば、ファイルシステムが拡張できます。ゾーニングのコツとして、ホスト単位にゾーンを組むことが必要となります。

 

複数ホストで一台の大容量マルチRAID分割仕様で構成した場合

GFSやクラスターシステムでの共有ディスク構成

 

ホスト単位でのゾーンを作成し、全ホストからRAIDをアクセスさせるには、全てのゾーンにRAIDを組み込む設定になります。この場合は、ポート単位でのゾーニングも、WWNでのゾーニングでも可能になります。

 

GFSやクラスターシステムでの共有ディスク構成

ここでゾーニングのことが出てきましたので、少し説明させていただきます。ゾーニングには二種類あり、ポート単位でのゾーニングをハードゾーニングと呼び、ポート増設などのカスケード接続をする場合に必要になります。ポートを移動するといった際には設定変更の必要があるため、ホストやデバイスは固定のポートに接続しつづける必要があります。また、WWN単位のゾーニングをソフトゾーニングと呼び、1スイッチ内で完結する構成の場合は、ホストやデバイスの使用するポートを固定する必要がありません。

 

しかしRAIDコントローラやHBAの交換が発生した場合はWWNが変わってしまうため、設定の変更が必要です。ハードでもソフトでも、1ホストまたは1デバイス共に複数のゾーンに属すことが可能です。ただし、RAIDにてLUN分けをして論理ディスクにマップする場合は、RAID側機能でWWNフィルター機能を利用します。LUN単位では、スイッチ側ではWWNでもポートでもゾーニングできません。

 

2重化パス構成

2チャンネルRAIDの場合、論理ディスクを各チャンネルに同じようにマッピングして両方をスイッチに接続し、ホストと同じゾーンに組み込んでおくと、フェールオーバードライバを使用したホストでは、RAIDのチャンネル障害時に正常チャンネルに自動でアクセスパスを切り替えることができます。

 

2重化パス構成

また、ホストのFCポート2つ、FCスイッチを2つ、RAIDのFCポート2つの構成では、ホスト間で冗長クラスターを組み、図のように接続することにより、パスの二重化と正常時のロードバランスが可能になります。 ロードバランス時は、ホストAでディスクAにはAライン、ディスクBにはBラインを使用して通信し、パスの帯域をフルに使用でき分散化されるので、パフォーマンスも高くなります。パスに障害が発生した場合は、通信可能なパスのみでアクセスを続行できます。

 

2重化パス構成

これら二重化やロードバランスは、以前はオプションのソフトを購入しないと達成できませんでしたが、QLogic製HBAとスイッチを使用すれば、オプションなしでの構成が可能となり、可用性の高い運用管理を実現しています。

 

(2004年6月掲載)