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LAN接続のストレージiSCSIとは?お客様へのIP-SAN関連コラムをご紹介します。

本ページに記載された技術情報は記事が出稿された時期に応じて推奨システムに対する考え方や実現方法が書かれています。
したがって、最新技術でのシステム構築を前提とし、この情報を利用する場合、その記事が時代に沿わない内容となる事もありますので予めご了承ください。

 

増量するデータの統合管理としてFCを使ったSANが登場して数年がたちますが、未だに費用面とコンパチビリティでの問題から導入をためらう企業はたくさんあります。コストが高く、システム管理にもスキルを求められるFCデバイスに代わり、需要が高まると言われているのがiSCSIです。

 

■プロトコル構成図:イニシエータターゲット

(※SCSIではホスト側をイニシエータ、デバイス側をターゲットと呼びます。)

 

プロトコル構成図:イニシエータターゲット
 

iSCSIは、SCSIコマンド、データの転送をIPに変換して通信する方式で、イーサネットのインフラが使用できるため、安価にストレージネットワークを構築でき、FC-SANのような専門知識が必要な管理者が不要です。また、距離の制限がなくなるため、よりグローバルなシステム構築が可能です。

普及段階に入ったギガビット・イーサネットでは、最大毎秒80MBの転送ができ、次世代の10ギガイーサネット製品もリリースが始まり、さらなるパフォーマンスアップも期待されます。一方、FCでの次世代主流は、1Gb/s、2Gb/sと互換のない4Gb/sがリリースされます。

 

iSCSIの利用と欠点

iSCSIの利点

 

  • IP接続(LAN・WAN)可能な機器同士のアクセスが可能であり、デバイスとホストの配置においての自由度の拡大
  • デバイスとして認識するため、NASとは異なり、ホスト独自のファイルシステムやローデバイスアクセスが可能
  • 排他制御が必要ですが、デバイス共有システムが比較的簡単に構成可能
  • 既存のDAS接続での利用可能なアプリケーションが、そのまま使用可能
  • SCSI規格が今日まで普及し、成功してきた要因のひとつにSCSIインターフェイスとSCSIプロトコルの存在があります。

    SCSIプロトコルは、コンピュータの処理速度向上に合わせ、1981年から世代を重ねるごとに前世代のほぼ2倍の高速化を実現し続けてきました。そしてパフォーマンスが上がっても下位互換性を失わないSCSIインターフェイスのおかげで、SCSI規格はパーソナルコンピューター、レガシーデバイスだけでなく、RAIDなどサーバストレージ系にまで広く普及し活躍しました。このパラレルSCSI規格には誰もが期待し、実際にUltra640、Ultra1280などのハイパフォーマンスSCSIの検討もされていました。

     

    iSCSIの欠点

     

  • DAS/SAN接続よりは、スピード面で劣る
  • TCP/IPのオーバーヘッド負荷がCPUにかかる。(iSCSI HBA利用によりオフロードが可能)
  • ネットワーク障害で、デバイスアクセスができなくなるため、ホットプラグデバイスのような仕様が必要。(Windowsは既にサポートされていますが、UNIXではOSハングアップの可能性があります。)
  • ネットワーク機器への負荷が大きくなるので、帯域幅の確保等ネットワークの調整や増強が必要
  • ネイティブサポートデバイスが少ない
  • 大規模化には、SANを組んでターゲットサーバを配置する必要がある。
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    イニシエータの入手方法

     

    一般のNICで使用する場合、iSCSIイニシエータソフトを入手しOSにインストールします。Windows用はMicrosoftにより入手可能です。

    iSCSI HBAを購入する場合、専用イニシエータドライバーがHBAに付いてきます。現在選択するなら、Adaptec製かQLogic製がよいでしょう。

    現状、まだ価格が高いですが、CPU負荷が小さいため、パフォーマンスは専用HBAが高くなります。

     

    イニシエータの設定と利用方法

    ここでは、Windows用Microsoft製イニシエータを利用した簡単に利用方法を説明します。

     

    ターゲット設定

     

    iSCSIデバイスをネットワークに接続し、マップされた論理デバイスに対し、アクセス許可するイニシエータノード名を設定します。

    (イニシエータノード名は、イニシエータ側設定で指定します。)

     

    イニシエータ側設定と利用

     

    LAN接続しているイニシエータホストにMicrosoft製イニシエータホストをインストールし、コントロールパネルのMicrosoft iSCSI initiaterを起動します。
    「Initiater Settings」タブにてターゲットで登録したノード名を入力し、Changeボタンで確定します。

    次に「Target Potals」タブにてAddボタンを押してターゲットのIPアドレスを入力し、OKボタンで設定します。

    (この際、Advanced設定にてCHAP認証の設定も可能です)

    「Available Targets」タブにて、LogOnボタンを押して接続します。この後、Windowsの管理ツールのコンピュータの管理を開くと、新規のデバイスが認識されています。通常のディスク接続時の操作により、パーティーション作成・フォーマット・ドライブマップすることにより使用可能になります。

     

    ファイル共有する場合、NASを使用することが現状有利ですが、ホスト単位でのデバイス使用や廉価版のSANとしてのiSCSI選択は、標準化の観点からも有効な選択であり、今後は急速な普及が予測されます。

     

    (2004年6月掲載)