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京都大学大学院薬学研究科 構造生物薬学研究室PDFダウンロード

京都大学薬学部は、昭和14年(1931年)に設立されました。その理念は、「薬学は医薬品の創製、生産、適正な使用を目標とする総合科学であり、諸基礎科学の統合を基盤とする学際融合学問領域と位置づけられる。本学部・研究科は諸学問領域の統合と演繹を通じて、創造的な薬学の“創”と“療”の拠点を構築し、先端的創薬科学・医療薬学研究を遂行して人類の健康と社会の発展に貢献することを目標とする。」としています(*京都大学薬学研究科ホームページより抜粋)。2000年代はじめに、ヒトゲノム計画により、人間のDNAの構造が明らかにされ、創薬にコンピューターが積極的に利用される第一歩が始まりました。昨今では、生体内の分子の解析が、国の積極的な科学技術政策により行われ、様々な場面でコンピューターが用いられるようになり、データ量が指数関数的に増えてきています。

そのような背景もあり、2015年初春、京都大学大学院薬学研究科 構造生物薬学研究室(加藤博章教授、中津亨准教授)に、大容量ネットワークストレージである「CloudyII iX 3TB×33」及び10Gイーサネットスイッチ、PROMISE製の「Pegasus2」をご導入頂きました。

SPring-8(大型放射光施設)とSACLA(X線自由電子レーザー施設)
写真提供:理化学研究所 構造生物薬学研究室の中津准教授は、研究について、以下のように説明しています。「当研究室では、様々な“化合物”を認識して排出するタンパク質である“ABCトランスポーター”に着目し、研究を推進しています。この“ABCトランスポーター”は癌細胞に非常にたくさん発現してくることが知られています。これは癌細胞に有効な薬を体内に投薬していくと、徐々にその薬が効かなくなってきますが、癌細胞にこの多剤排出型の“ABCトランスポーター”が大量に発現してくるため生じます。通常のタンパク質は化合物を認識するときにある特定の化合物を認識し、反応するようにできています。しかし、この“ABCトランスポーター”はいろんな形の化合物を認識します。そこで我々はいろんな形をどのように認識し、またどのようにしてからだの外に排出するのか、そのメカニズムを解明することを研究の目的としています。“ABCトランスポーター”のメカニズムを解明するにあたり、もっとも必要と考えていることは立体構造を明らかにすることです。そのためにX線結晶構造解析という手法を用います。この手法は通常の顕微鏡では見ることができない分子を見るには非常に強力であり、この解析を行なうために、兵庫県にあるSPring-8(大型放射光施設)に行き、たくさんのデータを持ち帰ってきます。

ルシフェリン再生酵素の立体構造 また、実験室では(株)リガク社製のX線結晶回折装置を利用しています。この装置は、SPring-8の小型版ですが、国内で1位、2位を争うほどの性能で、非常にたくさんのデータを短時間で測定することが可能です。
X線結晶構造解析は、タンパク質を結晶にするため、ある瞬間の立体構造を捕らえることに適しています。さらに詳細な反応メカニズムを解明するために、いろいろな反応の状態の結晶を作り出し、それぞれの形を解析して連続写真を作りたいと考えています。そのため最近ではSPring-8に隣接し、2011年より稼働を始めたSACLA(X線自由電子レーザー施設)の利用も開始しています。SACLAはSPring-8に比べると10億倍も強いX線を放射します。そのため、これまでは測定できなかったような数μmの微結晶での測定が可能になってきました。そこでルシフェリン再生酵素の微結晶を用い、世界に先駆けてX線自由電子レーザーを用いた新規タンパク質立体構造決定に成功しました。 (図参照) (京都大学プレスリリースをご参照ください)

微結晶を用いると大きな結晶を用いたときに比べて、結晶中のタンパク質分子を均一な状態に保ち易くなります。SPring-8では1ショットを1秒で測定していましたが、SACLAではわずか10フェムト秒で測定が可能です。そこで結晶の中である状態を作っておき、光を当てて反応を開始するというような何らかのトリガーをかけて結晶中で変化を起こさせた後、すぐに測定することが可能となってきています。この方法を使ってタンパク質が動いている様子を明らかにしていきたいと考えています。つまり、タンパク質が働いている様子のパラパラ漫画を作成したいわけです。SACLAで初めて構造決定を行った際、10万枚以上ものデータを収集しました。このデータをSACLAから京大まで持ち帰るためにPegasus2がその容量と転送速度のおかげで非常に役立ちました。このようにSPring-8や実験室の測定データも非常にたくさんのデータが必要ですが、SACLAのデータはさらに数千、数万倍のデータ量になります。そのためのデータ保存、転送環境は極めて重要です。
*10フェムト秒:10のマイナス15乗 参考10の15乗がペタ

ルシフェラーゼ(ホタルの発光を行う酵素)とPegasus2 構造生物薬学研究室が発足する以前、加藤教授と私は、理化学研究所播磨研究所のメンブレンダイナミクス研究グループに所属しておりました。SPring-8から大量に得られるデータの高速転送及び保存をいかにして行なうかはその当時から大きな問題でした。ニューテックは、同研究所内の他部門の研究者から紹介していただき、その時からのお付き合いをさせていただいています。ストレージの専業メーカーであるため、ストレージに対する安心感と相談しやすい点は我々にとって大きなメリットです。京都大学に異動してからも長い付き合いは続いています。SPring-8の高度化に伴い、測定できるデータ量は当時に較べてさらに増加しており、ストレージの需要は非常に高まっています。特にSACLAが稼働してからは、データ量が数十倍から数百倍に増え、データの高速転送及び保存が喫緊の問題であるという認識が顕在化しました。そのタイミングで、Pegasus2の発売が開始されました。

CloudyII ix(下)と再利用を検討しているEvoltuionII(上) 今回、ニューテック製品導入までには何度も打ち合わせを重ねてきましたが、結果として非常にいいソリューションを提案いただいたいと考えています。CloudyII iXは、Pegasus2内に収集されたSACLAのデータを、10GEthernetを介して高速に転送してくれます。

SACLA Network(10Gbps)を用いたバックアップ速度の検証では、10Gbase-TとThunderbolt2を変換する機器を介して、MacProと接続したPegasus2(3TB×8bay)の転送速度を測定したところ、FTPによる並列化で3回の平均値が189MB/sec.でした。さらにニューテックで現地にて測定してもらったところ、1ファイルの転送速度の平均値が300MB/sec.、複数ファイルの転送速度の平均値が500MB/sec.でした。チューニングをすることで転送速度の高速化を測ることが出来るのはさすがニューテックと思った次第です。X線結晶構造解析により得られるデータは大量であるため、納品いただいた90TBのCloudyII ixとPegasus2のみならず、10年前に納品していただいたEvoltuionIIを再稼動し、今後の大容量データ取得のため環境を整備していく予定です。」
最後に、中津准教授より、研究に対するコメントをいただいています。
「人間のからだの中や、様々な生物の中で、いろいろなタンパク質が活躍し、生命の維持に貢献してくれています。タンパク質の詳細なメカニズムを解明(タンパク質の見える可)していくことによって、神秘的な生命活動の解明の一端を担うことができれば幸かと思っています。」

生命科学分野の研究においては、X線を利用した実験的なデータ取得のみならず、コンピュータシミュレーションを多用した「タンパク質立体構造解析研究」、ビッグデータ解析の手法を用いた「創薬解析」等で従来よりも高性能なストレージが必要になると考えています。そのため、様々な目的に適合した高性能なストレージの需要拡大に合わせた新しいソリューション展開を予定しております。官民問わず、生命科学分野の研究に携わる研究者の皆様の縁の下の力持ちとして、ストレージインフラを構築していく所存です。

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