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広島大学 ナノデバイス・システム研究センターお客様への導入事例をご紹介します。

マタウシュ ハンス・ユルゲン 教授/小出哲士 助教授

広島大学ナノデバイス・システム研究センターは、大学におけるシリコンデバイス・システムの研究センターとして我が国では、2番目に古い歴史を持ち、世界的にも有数の規模を誇る研究センターです。平成14年度には、先端物質科学研究科の研究グループと共に文部科学省の21世紀COEプログラム「テラビット情報ナノエレクトロニクス」に選ばれました。更に、文部科学省のナノテクノロジー総合支援プロジェクトにおけるナノレベルでの極微細加工支援の5つの機関のひとつにも選ばれています。当センターは、ナノデバイス・プロセス・集積化システム技術において、学術研究発表・産官学共同研究などに多くの成果をあげており、更に世界トップレベルの研究を目指し、産業界と直結した研究を通して実践的な教育による人材育成を行っております。

 

開発したシステム LSI

マタウシュ ハンス・ユルゲン教授を中心とするシステム設計・アーキテクチャ研究領域は、デバイスからアルゴリズムまでを含めた総合的な研究により、メモリベースコンピュータ構成法の基礎を確立するアーキテクチャとLSI回路設計に関する研究を行っております。

 

この研究では、Sun、hpのワークステーションを用いた大容量のメモリを駆使した大規模LSIの回路設計や回路シミュレーションを行っていますが、シミュレーションの結果を得るために大容量のストレージが必要となっています。そこで2001年度よりニューテック製「Confidence ATAIIシリーズの導入を開始しました。2003年春~2004年春にかけて、ニューテックの主力製品である「Confidence ATAIINAS」及び「Confidence ATAIIf 3Uシリーズ」を各2台ずつ購入していただきました。「Confidence ATAIIf 3U」は、NAS同様ハードウェアのマルチRAIDコントローラを採用しています。マルチRAIDを使用することにより、1台の筐体を2台のホストで共有することが可能です。バックアップ用途としては、DDS4を使用してきましたが、エントリー/ミドルレンジサーバのローカルバックアップに導入が容易でコストパフォーマンスが高いLTO(Ultirum1)を購入していただくことになりました。

 

システム外観図
Confidence ATA 525GBモデルとLTO

 

2001年度より弊社製品の購入に携わっている小出哲士助教授に現状の機器構成とシステム運用についてお聞きしてみました。

 

「2001年春に購入をしたConfidence ATAデスクトップ525GBモデル1台と2003~2004年に購入したConfidence ATAIIf 2TBモデル2台をSunBlade2000 3台及びhpJ6750に接続しています。接続されたRAIDには、LSI設計データとCADツールを入れています。Confidence ATAIIfは、マルチRAID構成が可能で、1RAID筐体を2ホストで共有することが可能です。シミュレーション期間は、大きな回路になると1週間以上かかる場合があり、そこから得られるデータは期間が長ければ長いほど多くなります。更にそのシミュレーションデータを解析しますが、解析後のデータも膨大です。そのデータ内容は、それぞれのBlade2000マシンに接続されたDDS4とLTOに対してバックアップを取り、更に夜間NASにバックアップを取っています。またデータの保全性のため、定期的にNASに接続されているLTOにtarコマンドでバックアップを取っています。もう1台のNASは、20~30台あるWindowsとMacintoshクライアントの共有フォルダとバックアップデバイスとして使用しています。以前まで組み立てのLinuxサーバを立てていましたが、サーバとRAIDが一体化したConfidence ATAII NASの導入により管理が非常に楽になりました」とのことです。

 

これまでストレージシステムは、集中処理型→分散処理型→集中処理型へ移行してきました。集中処理型にした場合、メンテナンスが分散処理型に比べて容易であるというメリットがありますが、要であるシステムに対して集中的な処理を行うため、ネットワーク等のトラフィック延滞が起こる可能性があります。トラフィック延滞を防ぐため、現在「分散型+集中型」のシステムを採用しています。バックアップについては、メンテナンス性を考慮してNASのデータをLTOにバックアップするという形を取っていますが、将来的には拡張をお考えのようです。最後に小出助教授に現状のシステムの問題点等をお聞きしてみました。

 

「Sun、hpからRAIDへの書き込みはファイバーチャネルを利用しているため転送速度は速く、現状の研究内容に支障をきたすような問題は一切出ていません。現在の大きな問題点は、バックアップです。現在、NASのデータはウイークリー、マンスリーで、LTOにtar、dumpコマンド等を利用してバックアップを取っています。ただ、シミュレーションやLSI回路設計から得られるデータは日々刻々と増大の一途を辿り、LTOでは取りきれなくなりつつあります。現在、LTOが接続されているNASをニューテックさんから提案して頂いているバックアップ・アクセラレータ(p.38参照)にしてしまい、今までテープで取っていたデータをディスクtoディスクへのバックアップに変更することを考えています。バックアップ・アクセラレータを構築するためには、コンソリデート、世代管理を行うために対象バックアップの実容量の2~3倍のディスク容量が必要であると聞いておりますが、昨今のストレージの低価格化により、それも近々に実現できるのではないかと考えております。数年前までは、1GB当たりのディスクの単価が大幅にここまで下がるとは思っておりませんでしたし、このようなソリューションができることすら想像できませんでした。バックアップの問題点については、近々に解決ができるものと思っていますが、トラフィックの延滞などを防ぐためには、近い将来、SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)環境に移行することも考えております。以前に比べ、FCスイッチやボリュームマネージャ、GFSソフトの単価が下がり、購入がしやすくなったと聞いております。FCスイッチを利用して、多くのクライアントからトラフィックの延滞なしに、RAIDに対してアクセスが可能になることを考えると、バックアップ・アクセラレータも含めて、是非早急に検討をしてみたいと考えています。ニューテックさんのディスクやソリューションは、非常にコストパフォーマンスが高く信頼性が高いです。以前から拝見させて頂いているカタログコラムは、SAN・NAS・DASの比較やSCSIバスやRAIDの基礎を簡単に知ることができ、コンピュータを日頃から使用している学生への教科書として今でも非常に重宝しています。トラブルはほとんど無いのですが、起こった際にも、非常に丁寧に対応をして頂いて満足しています。今後も我々の貴重なパートナーとしてお付き合いし続けたいですね。」と非常にうれしいお言葉を頂きました。

 

システム管理者を定常的に置かなければならないシステムのNAS化、SAN化は、システム管理者である学生が一定期間で変わってしまう大学の研究室では二律背反的なシステムですが、今回の取材を通して、大学の研究室が、費用対効果が高い製品、ソリューションを望んでいることを実感することができました。管理者を定常的に置けない大学の現状を鑑み、ニューテックでは引き続き、各大学の研究室に対してソリューション展開を行っていく予定です。

 
広島大学 ナノデバイス・システム研究センター LSI回路設計ネットワーク構成図
 

(2004/7/14)

 

関連リンク
SupremacyⅢ RAIDシリーズ
SweeprStorⅣシリーズ