NTC Newtechデータで未来をつなぐ

RAID選択の注意点お客様へのRAID関連コラムをご紹介します。

本ページに記載された技術情報は記事が出稿された時期に応じて推奨システムに対する考え方や実現方法が書かれています。
したがって、最新技術でのシステム構築を前提とし、この情報を利用する場合、その記事が時代に沿わない内容となる事もありますので予めご了承ください。

 

RAIDを導入するに当たって注意する点がいくつかあります。プロトコルの制限、OSの制限、RAIDボリュームの分割とマッピングなどです。

 

ディスクストレージに対する様々な制限

●ATAディスクの最大容量=248×512B=128PB(ペタバイト1PB=1000TB)

ビッグドライブ規格の48ビットアドレッシングでの最大容量です。

 

●SCSI(FC)ディスクの最大容量=232×512バイト=約2TB

また規格上では、1SCSI ID内に256論理デバイス(ロジカルユニットナンバーLUN)をサポートします。が、HBAやOSの制限でLUN=8までが一般的です。1ID 1デバイスの場合、SCSIの論理的認識は、LUN0として認識しています。

 

●I/Fの制限

SCSI I/FやIDE I/Fにも制限が発生します。最新HBAでは、制限のない場合が多いですが、古い製品の場合、容量制限があるものがあります。SCSIに関しては、LUN対応していない製品もあります。

 

●OSの制限

OSでは、ディスクをブロックアドレスでアクセスします。ブロックアドレスが、32ビット対応か31ビット対応かにより、2TB、1TBの制限が発生します(現状は、64ビットOSでも発生します)。また、OSが対応していてもパーティション分けやファイルシステム作成コマンドが対応していなく使用できない場合もあります。LUN対応していないOSもあります。

 

2TBを越えるファイルシステム

ファイルシステムによっては、2TBを越えるサイズまで対応をうたっているものもありますが、上記制限のため実際は越えられない場合が多いです。Confidence NASシリーズでも64ビットファイルシステムを採用していますが、Linuxカーネル制限により1シェア(ファイルシステム)最大2TBになります。

 

論理ディスクマッピング構成

ホストのサイズ制限に収まるサイズに論理ディスク分割をし、LUNマッピングやSCSI IDマッピングにてホストの制限をクリアすることが可能です。

 

LUNマップ構成
 

マルチチャンネルRAIDの使用方法

(1)2ホストに1チャンネルずつ接続し、RAID内を複数論理ドライブでチャンネル別にマップして、1RAID筐体を2ホストで共有することが可能です。パフォーマンス面では、2台のRAIDを使用した方が良いですが、必要容量が小さい場合価格面で有利になります。(注意:同じ論理ドライブに2ホストからアクセスすると、ファイルシステム破壊の可能性があります)

 

論理ディスク
 

(2) (1)の構成で論理ディスク共有をする場合、GFS共有ソフトを利用すれば可能です。2ホストであれば2チャンネルRAIDのみでも可能です。3台以上での共有の場合は、FCスイッチを使用したSAN環境が必要になります。この場合、RAIDの2チャンネルを共にFCスイッチに接続して、経路のトランキングが可能です。

 

(3)2ホストのアクティブ-スタンバイのクラスター環境の場合。スタンバイ側は、アクティブ側が停止してからマウントして稼働すれば、ファイルシステムの不整合なしに切り替えが可能です。この場合、スタンバイ中のデータコピーは必要ありません。

 

HSMシステムでファイルシステムサイズの限界を超える

2TBよりも大きな論理ボリュームを使用したい場合、HSMシステムも有効です。

HSMシステムでは、ディスクエリアをファイルの一時保管場所として使用し、アクセスされなくなったファイルを自動的にテープライブラリやDVDライブラリ等の大容量のリムーバブルデバイスに移動(マイグレーション)させ、アクセスのあった際にディスク内にファイルが無い場合は、マイグレーションデータベースから検索して、必要ファイルを読み戻してディスクに再配置します。このようにデータを管理し、透過的動作をするシステムのことで、テープ・DVDライブラリ内のメディアの合計サイズまで対応可能です。ユーザーからは、既存のファイルシステムと同じように運用可能です。ハードディスクは、HSMシステムでのキャッシュ的な扱いになり、その容量に1TBや2TBの容量を使用すれば、同時に多くのクライアントをサポートすることが可能になります。この場合、低速デバイスのアクセスよりもネットワークの方が、ボトルネックになる可能性もあります。このように、最大容量の増大のシステム運用が可能になります。

 

HSMシステム
 

ファイルシステムのラベリング

FCデバイスは、規格上FCのIDが重なっていてもWWNにより別デバイスとして正常に認識動作可能です。この場合、人の識別としてどの装置がOS上のどのデバイス名に割り当てられるか、容量が同じだと識別が困難になります。

ディスクにアクセスして、アクセスランプの点き方で、このデバイスがこの名前と判別できます。FC IDの指定にかかわらず、接続の順番等その他の要因により認識する順番が変化するため、障害時に接続の順番が変わったりするとデバイス名は変化してしまいます。ファイルシステムのラベル機能を使用すると、デバイス名ではなく、ラベルを使用してマウントコマンドが可能なため、この問題を回避できます。Linuxでは、e2labelコマンドでラベルを書き込み、fstabでは、デバイス名の場所にラベルを書いてマウントさせます。

 

●記述例

LABEL=/label1 /label1 ext2 defaults 1 2

デメリットとしては、この書式でfstabを書いていると、同じラベル名のディスクを接続した場合問題が発生します。ご注意ください。また、LVM(ロジカルボリュームマネージャ)を使用すると、ディスクグループ(1台でも可能)名でデバイスの名前を管理します。グループ内ディスクに関しては、LVMのディスク管理により内部的に異なるラベルを付けて管理されるため、同様にFC IDによらず運用が可能です。

例  GFSの場合 : /dev/pool/device0 device0がLVM

   MVDの場合 : /dev/default0/lvol1 default0がLVM名

 

(2003年11月掲載)